新規事業の一歩目は「プロジェクト・デザイン」から始まる。やりがちなミスは、思いついた具体的なアイデアにすぐ飛びついてしまうことだ。「ハンバーガーショップをやりたい」というアイデアがあっても、そこに絞り込む前に、一度根本に立ち返って抽象度の高いテーマ設定を行う必要がある。例えば「利益よりも価値を大切にする」というパーパスを持つライフスタイル企業なら、「持続可能な食のあり方に向き合う」というテーマ領域を仮置きすることが出発点になる。
抽象度の高いテーマを設定することには2つの目的がある。1つは常に立ち返る判断基準となる「軸」を置くこと。もう1つは創造性を刺激する「制約」を課すことだ。白紙のキャンバスよりも3つの黒点があるキャンバスの方が想像力をかきたてられるように(シミュラクラ現象)、制約条件があることでクリエイティビティは加速する。制約条件こそが新規事業の種であり、イノベーションとは「制約に対する創造的なアプローチ」でもある。
テーマ領域はあくまで「仮説」でいい。どの山に登るのか、どんな山なのか、どれくらいの高さなのか——まずは漠然とした抽象度の高い設定で良い。この仮置きから始めることで、次のステップへの道筋が見えてくる。