成熟事業を持つ大企業で新規事業を創るということは、スタートアップよりもはるかにゴールに近いところからスタートできる。既存事業で培った技術・顧客との信頼・販路・パートナー企業・ノウハウ・優秀な社員といったアセットを活用できるからだ。孫子の「彼を知り、己を知れば百戦殆うからず」という言葉の通り、まず自社の強みと弱みを客観的に把握することが戦略の出発点になる。
分析には目的に応じた手法を選ぶ。SWOT分析は内部環境(強み・弱み)と外部環境(機会・脅威)を洗い出す基本フレームワーク。バリューチェーン分析は原材料の調達から販売までのプロセスで自社の利益の上げやすさを分析する。ファイブフォース分析は業界内の競合・買い手の交渉力・新規参入の脅威・代替品の脅威という5つの視点で競争環境を把握する。PEST分析は政治・経済・社会・技術の外部環境変化を捉える。
大切なのは、これらの分析を通じて「自社がスタートアップよりもスピーディーかつ確実に事業を創出するために使える手段は何か」「逆に外部から調達しなければならない手段は何か」を明確にすることだ。スタートアップと直接戦うのではなく、既存事業のアセットを最大限に活かして一気に市場を開拓する戦略が、大企業の新規事業の本来の強みになる。