ライオン株式会社は2030年に向けて「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する」というパーパスを設定した。歯磨き粉や手洗い石鹸を販売することで、歯磨きや手洗いという良い習慣を世の中に定着させ、公衆衛生に貢献してきたという歴史の言語化だ。この言葉により既存事業の社員に「自社は人々の習慣を創ってきた」というメッセージが届き、「既存製品を販売するだけでなく、その先に何ができるか」という問いかけにもなっている。
自分たちは何屋か——この問いへの答えを出すには、具体的な製品や技術ではなく、抽象的な「価値」の言語化が必要だ。ビジョン(辿り着くべき理想の姿)、ミッション(ビジョンを実現するための使命感)、バリュー(強み・らしさ・独自性)を議論し、抽象と具体を繰り返しながら重要視すべき価値観のワードを浮き彫りにしていく。この過程こそが「パーパス」の定義につながる。
既存のパーパスを書き換えることが難しい場合でも、新規事業部門として独自のパーパスを検討し定義することは取り組むべきだ。優れたパーパスは新規事業のためだけに存在するのではなく、全社員に「会社が社会に対して何を提供しているのか、これから何ができるのか」を明示する羅針盤になる。