STEP 1 PREPARATION 準備 第2章 プロジェクトを設計する

自分たちは「何屋」なのか?

ライオン株式会社は歯磨き粉や石鹸を売る「日用品メーカー」ではなく「より良い習慣づくりで人々の毎日に貢献する会社」としてパーパスを再定義した。この「自分たちは何屋か」という問いへの答えを抽象的な価値ベースで言語化することで、既存事業の方向性も新規事業の判断基準も同時に明確になる。

ライオン株式会社は2030年に向けて「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する」というパーパスを設定した。歯磨き粉や手洗い石鹸を販売することで、歯磨きや手洗いという良い習慣を世の中に定着させ、公衆衛生に貢献してきたという歴史の言語化だ。この言葉により既存事業の社員に「自社は人々の習慣を創ってきた」というメッセージが届き、「既存製品を販売するだけでなく、その先に何ができるか」という問いかけにもなっている。

自分たちは何屋か——この問いへの答えを出すには、具体的な製品や技術ではなく、抽象的な「価値」の言語化が必要だ。ビジョン(辿り着くべき理想の姿)、ミッション(ビジョンを実現するための使命感)、バリュー(強み・らしさ・独自性)を議論し、抽象と具体を繰り返しながら重要視すべき価値観のワードを浮き彫りにしていく。この過程こそが「パーパス」の定義につながる。

既存のパーパスを書き換えることが難しい場合でも、新規事業部門として独自のパーパスを検討し定義することは取り組むべきだ。優れたパーパスは新規事業のためだけに存在するのではなく、全社員に「会社が社会に対して何を提供しているのか、これから何ができるのか」を明示する羅針盤になる。

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