イノベーションとは「顧客がまだ認識していない本質的なニーズを解決すること」だ。だから「顧客に愛されるプロダクトを作ろう」という発想では辿り着けない。正しい問いは「顧客を愛するがゆえに、生み出さざるをえないプロダクトとは何か」である。顧客から愛される前に、まず自分たちが顧客を愛する必要がある。
新規事業の最初の一歩はN=1の特定だ。NとはStatisticsでのサンプル数を意味し、まずたった一人の顧客に絞り込む。幅広い層を最初からターゲットにすると、角の取れた「みんなにとってどうでもよい」プロダクトになる。熱狂的なファンが生まれなければ、最初の売上も口コミも生まれない。
初期段階で目指すべきは、コンセプトを聞いて「絶対買う」「ぜひ実現してほしい」と即答してくれるエヴァンジェリスト・カスタマーの存在だ。その一人が幸せになる姿が見え始めると、プロジェクトメンバー自身にも「何が何でも実現したい」という火がつく。これが原体験化であり、イノベーションを前進させる推進力となる。