顧客の観察・体験・傾聴を通じて初期仮説が立てられたら、次はデプスインタビューで検証する。デプスインタビューとは、調査対象者と1対1で向き合い、本音を引き出す調査手法だ。ゴールは「顧客の部屋の中まで想像できる」レベルの理解に達すること、つまり顧客に憑依することである。
人は建前と本音を使い分けて生きている。初対面のサウンディングでは本音はまず出てこない。継続的に関係を築き、気軽に雑談できる関係になって初めて本音が漏れ出す。インサイトは顕在化したペインやゲインの中ではなく、顧客自身も意識していない領域にこそ潜んでいる。
デプスインタビューで重要な前提は、「何が欲しいですか?」と直接聞かないことだ。潜在的ニーズに取り組むのがイノベーションであり、顧客本人は欲しいものをまだ言語化できていない。顧客の普段の行動・生活パターンを聞き込み、その行動の背後にある価値観や判断基準を推察することで、はじめてインサイトが浮かび上がる。