顧客体験のデザインは、「プロダクトを買う」その瞬間だけを設計することではない。顧客はサービスと出会う前から、購入後の日常まで長い接点を持つ。この全プロセスを「体験」として設計することが、情緒的価値と体験的価値を実現する鍵となる。具体的には3種類のシナリオを用いる。バリューシナリオ(顧客の利便性・嬉しさ・ビジネスメリット)、アクティビティシナリオ(利用シチュエーションにおける行動と感情)、インタラクションシナリオ(タッチポイントの具体的操作)だ。
ミクシィの事例はこれを端的に示す。当時のSNSが男性エンジニア主導のシンプルなデザインだった中、ミクシィのオレンジ基調は女性コミュニティとのインタビューから生まれた。「楽しい」と感じられるデザインが女性ユーザーを集め、男性も集まり、日本No.1のSNSへと成長した。コミュニティとの共創から生まれた「細かい機微」こそが、強い差別化要素になり得る。
顧客体験のデザインは自社だけでは辿り着けないインサイトを含む。ターゲット顧客と「共動」で**「共創」することで、価値は何倍にも膨れ上がる。カスタマーサクセスとカスタマーハピネスを実現するためには、知名度だけでなく顧客との継続的なエンゲージメント**を通じたブランドの構築が不可欠だ。
参考文献
- Concent, Inc., “ユーザーシナリオとは?サービスデザインにおける活用方法”, 2018. https://www.concentinc.jp/design_research/2018/02/sdtools/
- mixi, Inc., 会社案内・沿革. https://mixi.co.jp/
- Marc Levy & Jake Knapp, “Sprint: How to Solve Big Problems and Test New Ideas in Just Five Days”, Simon & Schuster, 2016.(邦訳:ジェイク・ナップ著『SPRINT 最速仕事術』ダイヤモンド社)