SonyのBeautyExplorer™は、コミュニティ検証からサービス化に至った代表的な事例だ。ソニーのカメラに内蔵されたCMOSイメージセンサーが肌診断に使えるという発見を起点に、「顧客起点・デザイン思考」のプロセスを実現するため、大企業の内部ではなく社外で「出島化」することが選択された。
キュレーションズはプロジェクトに**「共創オフィス」というコンセプトを持ち込み、常に顧客候補がオフィスに集まれるカフェ的コワーキングスペースを設けた。オンラインで1万人、リアルで300人のターゲット顧客候補である女性有識者・女子大生をコミュニティ化**し、確認したいことが生まれれば即座にインタビューやワークショップが実施できる環境を作った。プロジェクトの進行スピードは圧倒的だった。
コンセプトへの確信を持てなかった上司・役員たちも、顧客候補がワイワイとディスカッションする現場を見て**「ターゲットではない自分たちが判断してはならない」と、事業化の承認を下した。こうしてBeautyExplorer™はポーラの化粧品売り場で実用化され、現在はソニーとポーラのジョイント・ベンチャーSOULA株式会社**として、ビッグデータを活用したヘルステック企業へと発展している。コミュニティを作るからこそ、イノベーションは加速する。
参考文献
- Sam Seely, “The Amazon Flywheel”, 2021. https://www.samseely.com/posts/the-amazon-flywheel-part-1
- Brad Stone, “The Everything Store: Jeff Bezos and the Age of Amazon”, Little, Brown and Company, 2013.(邦訳:ブラッド・ストーン著『ジェフ・ベゾス 果てなき野望』日経BP社)
- Jim Collins, “Good to Great”, HarperBusiness, 2001.(邦訳:ジム・コリンズ著『ビジョナリー・カンパニー2──飛躍の法則』日経BP社)