大企業の社内新規事業担当者が陥りやすい罠がある。それは、既存事業で身につけた**「石橋を叩いて渡る」行動原理をそのまま持ち込んでしまうことだ。既存事業では、KPIで管理された縦割り組織が部分最適を積み重ね、大きな売上を生む。リスク最小化は既存事業において最適な行動原理であり、それは決してネガティブなことではない。しかし、新規事業においては全く異なるOSが必要**になる。
新規事業は「未来が予測不可能」という前提に立っている。スティーブ・ジョブズがiPhoneを発売する前、誰も「スマートフォンが欲しい」とは思っていなかった。革新的な事業を生み出すためには、情報収集・専門家への相談・アイデア出しだけでなく、まず「行動しないこと自体がリスクだ」という思考への転換——パラダイムシフトが必要だ。
そのための具体的なアクションが、アンラーニングとリスキリングである。アンラーニングとは、これまでの価値観や認識を取捨選択する「学びほぐし」。リスキリングとは、新たなスキルを獲得する「学び直し」だ。本章では、まずこの思考のOSを書き換えることから始める。