事業アイデアの検討に入る前に、まず「世の中の流れ」を多角的にリサーチし、テーマ領域を仮決めすることが重要だ。国内外のスタートアップ動向、VCの資金調達トレンド、法規制の変化、大学の研究成果、顧客行動の変化など、幅広い視点から情報を収集する。誰しも「井の中の蛙」であり、自分の業界・業務の枠を超えた「越境」なしには、斬新な発想は生まれない。
社会変化にはスピードや規模の異なる複数のレイヤーが存在する。インフラ整備、規制緩和、顧客行動の定着、自然環境の変化など、それぞれの変化が連動することで新たな事業機会が生まれる。この段階では「サステナブルな飲食事業」のように、直感・直観に基づいてテーマ領域を仮置きすれば十分だ。この後の深掘り調査を経て精度を上げていく。
重要なのは、顧客の「顕在化した課題」だけに引っ張られないことだ。顕在課題を解消するだけのアイデアは、すでに誰かが取り組んでいることが多い。スティーブ・ジョブズがカリグラフィーの授業という無関係な経験をのちのMacのフォント設計に活かしたように、目的なく蓄えた点(ドッツ)が将来繋がることこそがイノベーションの閃きを生む。まずは俯瞰的な情報収集を習慣にしよう。
参考文献
- Stewart Brand, “The Clock Of The Long Now: Time and Responsibility”, Basic Books, 1999.
- Tim Brown, “Change by Design: How Design Thinking Transforms Organizations and Inspires Innovation”, HarperBusiness, 2009.(邦訳:ティム・ブラウン著『デザイン思考が世界を変える──イノベーションを導く新しい考え方』早川書房)
- Steve Jobs, Stanford University Commencement Address, 2005. https://news.stanford.edu/stories/2005/06/youve-got-find-love-jobs-says
- Clayton M. Christensen, “The Innovator’s Dilemma”, Harvard Business Review Press, 1997.(邦訳:クレイトン・クリステンセン著『イノベーションのジレンマ』翔泳社)