情報収集の量をいくら増やしても、乱雑なままでは価値は生まれない。収集した情報をしっかりと整理することで初めて、点と点が繋がりインサイトが発見できる。有効な手法がKJ法だ。文化人類学者の川喜田二郎氏が考案したこの手法では、情報をカードに書き出し、関連するものをグルーピングし、カテゴリー名をつけ、グループ同士の関係性や時系列を整理していく。
このプロセスを複数人で行うことで、情報共有と意識合わせが自然と進む。整理しながら個々人の信念や価値観を俯瞰することで、目指すべき世界を表すキーワードが浮かび上がる。例えば高齢者介護をテーマにした際、情報を整理する中から「現代版姥捨て山」というキーワードが生まれ、「自ら進んで行く介護施設」というアイデアへと発展した事例がある。
キーワードは必ずしも整理した情報の中から生まれなくてよい。童話・逸話・哲学・学術用語など、幅広い分野から独自の視点で言葉を引用することが大切だ。そうした独創的なキーワードを軸に、イノベーションの物語が紡がれていく。
参考文献
- 川喜田二郎『発想法──創造性開発のために』中公新書、1967年.
- 川喜田二郎『続・発想法──KJ 法の展開と応用』中公新書、1970年.
- Tim Brown, “Change by Design”, HarperBusiness, 2009.(邦訳:ティム・ブラウン著『デザイン思考が世界を変える』早川書房)