顧客を定義したら、次に取り組むべきは「その顧客をどんな幸せな未来に連れていきたいか」を具体的に描くことだ。ここで注目すべきは、描くべき未来が「予測可能な未来」ではなく「予測不可能な未来」である点だ。過去の延長線上ではなく、顧客がまだ経験したことのないジャンプアップした未来を描くことが求められる。このジャンプアップの度合いが強いほど、より独自の価値を持つイノベーティブな事業になる。
サウンディング結果を忠実に反映する必要はない。むしろ、収集した情報を踏まえつつも、自らの価値観や信念に基づいて「本来この顧客はこうあるべきだ」と感じる理想の未来を、独自の視点で描くことが重要だ。これが「アート思考」であり、社会を自らの価値観で再定義しようとする創造的なプロセスそのものだ。
顧客が現状に満足していても、「彼らにはもっとこういう未来がふさわしい」と感じるならば、それがビジョンになる。このビジョンに対して「なぜ今はそうでないのか」という強い忸怩たる思いが湧くなら、それは深い共感と意志の証だ。ビジョンを自分の言葉で定義することで、ミッション(使命)とパーパス(社会的存在意義)が自然と生まれてくる。