ビジョン(顧客のあるべき未来像)が明確になると、現在の状態とのギャップが「解決すべき問題」として見えてくる。ここで「問題」と「課題」の違いを明確にしておくことが重要だ。問題とは目標と現状のギャップであり「解決するもの」、課題とは問題を解決するためにやるべきことで「達成するもの」だ。この2つを混同すると、取り組む方向性がズレてしまう。
重要なのは、顧客課題の収集から始めるのではなく、まずビジョンを描き、そこから逆算して問題を定義する順序だ。顧客自身が気づいていない潜在的ニーズ=インサイトは、この逆算プロセスからしか生まれない。解決すべき問題が明確になったら、顧客課題との関係性を要因・真因として構造化し整理することで、提供価値のアイデアが具体化できる。
大和リビングの「IoT D-ROOM」はその好例だ。「家賃を無料にする」という大胆なビジョンを起点に問題を逆算し、IoT住宅という新しい収益モデルを創出した。現在の常識を否定し、顧客の未来の当たり前を描くことで、イノベーションは具体的な形を帯びていく。